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歯周病学講座

歯肉縁上プラーク(染めだして見ることが出来る)と歯肉炎との強い関係 2015.04.28

前回はデンタルプラーク(バイオフィルム)について述べましたが、その中でも歯を染色して見ることの出来る歯肉縁上プラークが歯肉炎に強く関連しています。この場所に存在するプラークは空気に触れることが多いので比較的、酸素を好む細菌がみられ、特殊な染色法(グラム染色)を行うと陽性(青色)に染まる菌が多数を占めます(代表的な菌としてはストレプトコッカスミュータンスなど)。

歯肉縁上プラークが歯肉炎の最大の原因であることは1960年代にハロルド・レーと言う人によって明らかにされました。ハロ ルドさんの行った方法では、歯磨きを徹底的に行って歯垢の付着が見られず歯茎も健康な人が歯磨きを中止すると2週間ほどで歯垢が歯の表面全体に広がり、同時に歯肉に炎症が見られるようになり、それがどんどんひどくなります。しかし、その後、歯磨きを再開すると歯垢の減少と共に歯茎も健康に戻るというものです。この結果は今では多くの人に受け入れられていますが、当時としては画期的なことでそれ以前は歯垢よりも歯石を歯肉炎の原因と考える人が多かったようです。

 

次回は歯肉縁上プラークを除去し、歯茎(歯肉)を健康にする方法について述べます。

 

 

 

野口俊英

デンタルプラーク(歯垢)の本体は? 2015.04.17

デンタルプラーク(歯垢)は歯の表面に強固に付着した生きた細菌の集団であり、1グラム当たり約10の11乗個もの細菌で構成されています。さらに、デンタルプラークは別名バイオフィルム(biofilm)とも呼ばれているように、細菌自身が自分たちの生存を 守るために細菌同士が巧妙に作り上げたフィルム状の環境であり、うがい剤などから組織を守り、抗生物質(抗菌剤)なども内部には届きにくい構造になっています。

同時に口の中は極めて細菌の育ちやすい環境、すなわち、適度な水分(唾液)、食べカスなどの栄養分、体温と同じ温度が保たれておりプラーク、の除去を行わずに放置すれば細菌は猛烈な勢いで増え続けます。

プラークには特殊な染色剤で染めだして見ることの出来るもの(歯肉縁上プラーク)と、歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)の中に存在し、目では見えないもの(歯肉縁下プラーク)とがあります。両者を構成する細菌の種類は大きく異なり、歯肉炎は歯肉縁上プラークが最大の原因になります。

次回は歯肉縁上プラーク中に存在する細菌の種類などについてお話しする予定です。

 

 

野口俊英

歯周病について知りたい方はこちら

歯肉炎の最大の原因は? 2015.04.06

前回は歯周病の初期の状態で歯茎(歯肉)にのみ病気が限られている歯肉炎の症状(歯茎の腫れ、発赤、、出血)について述べました。歯肉炎は早期に対応すれば元の健康な状態に戻るためその原因を正確に知り対応することが大切です。歯肉炎の中でも歯の表面に付着した生きた細菌の集団であるデンタルプラー ク(歯垢、バイオフィルムとも言います)が病気の原因であるプラーク性歯肉炎ではデンタルプラークを丁寧に除去することによって歯肉炎は治り、ピンク色の健康な歯茎に回復し、スティップリングというミカンの皮のようなものが現れます。

ただ、歯の数は28本(親知らずを除いて)もあり、全部の歯からデンタルプラークを完全に取り除くことはかなり困難であり、歯科医院などで専門的な方法を学ぶことが必要です。歯肉炎を放置すれば病気が歯茎以外の歯周組織(歯槽骨、歯根膜、セメント質)にまで及び(歯周炎)、元の健康な状態には戻りませんので、歯肉炎の時期に歯周病を治すことはとても大切です。

次回は歯肉炎の最大の原因であるデンタルプラークについて詳しく述べます。

 

野口俊英

歯肉炎で歯肉(歯茎)はどう変化するのでしょう? 2015.03.25

前回にも述べましたように歯肉炎とは病気が四つある歯周組織(歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質)のうちの歯肉のみに限定されている歯周病の初期の段階です。ですから、この段階で歯周病を治せば歯肉はほぼ健康に近い状態に戻ることが可能であり、早くその症状を知ることが大切です。

歯肉炎は歯肉におきた炎症ですので炎症に特有な症状である発赤、腫脹、出血がそのまま当てはまります。すなわち、歯肉(歯茎)が赤くなり,腫れ、歯磨きやリンゴをかじった時に出血するなどがその主な症状です。歯が揺れたり、物を噛むと痛いなどということはめ ったにありません。時々は鏡を見て歯茎(歯肉)にこれらのサインが出ていないか観察する事が大切です。

次回からは特殊な歯肉炎や歯肉炎の原因などについて話をするつもりです。

 

 

野口俊英

歯肉炎ってどんな病気? 2015.03.11

前回、歯周病は大きく三つのタイプに分けられるという話をしました。すなわち、歯肉炎、歯周炎そして咬合性外傷です。今回はこの内の歯肉炎(gingivitis)について述べてみたいと思います。

歯肉炎は四つある歯周組織のなかの一つである歯肉(歯茎)にのみ病気が見られる状態であり、単純性歯肉炎、潰瘍性歯肉炎、肥大性歯肉炎そして薬物性歯肉炎などが あります。この中で最も多く見られるのが単純性歯肉炎であり、その原因は歯の表面にしっかり付着したデンタルプラーク(歯垢)です。歯肉炎では病気が歯槽骨、歯根膜そしてセメント質などの他の歯周組織に及んでいない歯周病の初期の段階であり、原因であるデンタルプラークが十分に除去出来れば元の健康な状態に戻ることが可能です。

 

歯肉炎の症状、原因などについては次回以降詳しく述べます。

歯周組織を正確に知っていますか? その2 2015.03.01

前回、歯周組織は4つあるという話をしましたが、皆さんが鏡で見ることの出来るのは歯茎(歯肉)のみです。歯茎以外の歯槽骨、歯根膜、セメント質は歯茎の下に隠れていることになります。歯槽骨とは歯の根の部分を取り囲んでいる組織で、歯が失われるとともに存在しなくなります。歯で食物を噛んだり、噛みちぎったり出来るのは歯槽骨のおかげです。レントゲンを撮ればその一部、あるいは全体を間接的に見る事が出来ます。歯周病(歯周炎)になるとこの歯槽骨がどんどん失われてしまいます。

歯根膜とはこの歯槽骨と歯の根の表面を結ぶ弾力のある組織で 歯に加わる強い力を直接歯槽骨に伝えないような役割を果たしています。セメント質とは歯の根の最表部の組織で、歯根膜の一部がその中に入り込んで(シャーピー線維)歯根膜と同様に歯に加わる力を和らげます。つまり、歯根膜とセメント質は車におけるショッカスソーバ(shock absorption)の役割を果たしていると言えます。

 

歯周病はこれら四つの組織に病気がおこる事です。次回からは歯周病という病気そのものについて詳しく説明いたします。

 

 

野口俊英

歯周組織を正確に知っていますか? その1 2015.02.18

これまでの私の歯周病学講座では最新ということでちょっと難しい話をしましたが、、今回からは歯周病そのもののついて出来るだけ解りやすくお話ししようと思います。

 

「歯周病がおこる歯周組織のこと正確に御存じですか?」

 

多くの国民の方々はテレビコマーシャルなどにより歯周病については関心を持つようになっていますが、それでは歯周病がおこる場所( 歯周組織)について正確に御存じでしょうか?歯周病は歯茎だけにおこる病気だと思ってはいないでしょうか? それは違います。 と言うのも歯周組織は歯茎「専門的には歯肉(しにく)」を含めて4つの組織から成り立っているからです。

 

歯周組織とは歯を取り巻き、歯を支える歯の周囲の組織なのです。具体的には歯茎(歯肉)、歯槽骨、歯根膜、そしてセメント質です。ですから、歯周病とはこの四つの歯の周囲の組織が病気になることです。虫歯や歯の神経などの歯自身の病気ではありません。それぞれの組織については次回より徐々に説明させて頂きます。

 

 

野口俊英

「Big Data (ビッグ データ)」への関心 2015.02.09

歯周病を始め、全ての病気はその原因が明らかになれば、その原因を取り除くことによって病気の治癒が期待されます。

このため、実験室での基礎的研究や動物実験などにより、病気の原因を追及する数多くの試みがなされてきて、成果を挙げています。しかしながら、これらの研究でも個々人の病気の原因を完全に解明することは困難です。

 

そこで、近年、医科の世界ではBig Dataの利用という考え方が急速に拡がっています。これは、個々人の患者さんの詳細で巨大なさまざまなデータを記録、蓄積し(大規模データべース)、コンピューターにより解析するという手法です。

この方法を用いればそのデータのなかにある潜在的で特殊な傾向や相関性が見出せる可能性があり、それをピックアップし、解析することにより、病気の早期診断や望ましい医療が可能になるというものです。

 

残念ながら歯科ではまだまだこのBig Dataを応用する環境は整っていませんが、今後、大いに注目すべき分野と言えます。

 

 

野口俊英

Dr.野口の歯周病学講座 2015.02.09

今回ご紹介する大島光宏先生(奥羽大学薬学部)の研究は医科系の新聞であるMedical Tribuneに紹介されたものです。

 

大島氏は歯周病による歯の脱落は歯茎(歯肉)の上皮細胞という細胞が、歯根の先端に侵入することに注目し、それを阻止するメカニズムについて研究しました。

 

その結果、歯周組織の一部の細胞である繊維芽細胞という細胞が分泌する物質が前述の上皮細胞の活動を高める事を確認しました。

そして、この細胞をアグレッシブ繊維芽細胞と名付けました。

 

この細胞は歯周炎の患者さんの歯茎には必ず見つけられるものの、健康な人の歯茎には存在しなかったということです。

 

このように、歯周病の原因を新しい見方で研究することは、歯周病の早期診断や治療の大きな手助けになるかもしれません。

歯周病の原因に関する新しい仮説の紹介 2015.01.20

歯周病(以前は歯槽膿漏と言われていました)は、糖尿病などと同様に多くの国民が苦しんでいる病気です。このため、歯周病の原因についての膨大な研究がおこなわれ、現在では歯の表面に付着した生きた細菌の集団である歯垢(デンタルプラーク)が最大の原因とされています。しかしながら、歯周病が始まる時期やその進み具合は人によってかなり異なります。

 

そこで、近年ではこれら歯周病に関連する細菌に対する体の抵抗力(どんな病気に罹っているか、遺伝的影響はあるのか)についても研究が活発に行われています。

 

津田忠政

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