歯周病は虫歯と違い、痛みに耐えられないような苦痛があまりありません。
しかし、40歳を過ぎると歯が抜ける原因の半分以上は歯周病です。歯周病に関して正しい知識を持ち、早期発見・早期予防をすることは、ご自身の歯と長く付き合うためにも重要なことです。
そこで、歯周病を出来るだけ早く発見するために、以下のチェック項目をあげてみました。
上記の症状に当てはまった場合は、出来るだけ早めに歯科医院へ相談することが必要です。
どのような歯ブラシを選べば良いか、種類が多いから悩んでしまいますよね。
当院が考える歯ブラシの選定基準をお伝えしたいと思います。
この中でも、とりわけ毛先の硬さと毛先全体のサイズが特に重要だと言えるでしょう。毛先が硬いものは歯の表面についた汚れを落とすのに適していますが、硬いからこそ歯ぐきを傷つけたりしてしまう可能性があります。
一方、柔らかい歯ブラシは“バス法”と言って歯と歯肉の間の溝(歯周溝)にまで歯ブラシを届かせる場合に使います。
歯ブラシのサイズですが、毛先はなるべく短いものを選ぶようにしましょう。
お口の中全体に、毛先が行きわたるようなものが理想です。
いずれにしても、どのような歯ブラシを使用するかがわからない場合は、歯科衛生士と相談の上、ご自身に適した歯ブラシを使用するようにしましょう。
この質問はとても多いのですが、歯磨き剤を変えたからといって、虫歯や歯周病が治るということはありません。ですから、それほど神経質にならなくても大丈夫でしょう。
一方で気をつけなければならないのが、“歯磨き剤の量”です。
歯磨き剤には、「研磨剤」が入っていますので、歯ブラシに山盛りで歯磨き剤をつけて磨いても、プラークだけではなく歯の表面まで削り取ってしまいます。
ですので、歯ブラシの植毛部の1/4程度をつけて正しいブラッシングをすることが必要です。
歯石は歯周病の二次的な原因ですが、最大の原因ではありません。
歯石は、歯の表面についたプラーク(細菌)が死んで石灰化してしまったものです。歯石自体はプラーク(バイオフィルム)のように歯ぐきや歯槽骨(歯ぐきを支える骨)に直接害を与える存在ではありません。
しかし、歯石の表面はゴツゴツしており、その表面は非常に細菌が住みやすい環境になっているのです。ですから、歯石を取らないといくら歯磨きをしても、歯石の表面からはプラークが十分に取り除けないため歯周病は治らないということになります。
歯の噛み合わせに異常が認められたとしても、歯周組織が健康であればほとんど影響を受けません。
しかし、歯の噛み合わせが悪いと、どうしてもそこに溜まったプラークを取り除くのが困難になってしまい、その結果として歯肉炎や歯周炎になってしまい、歯周病が進行してしまいます。
歯と歯ぐきの間に溝(歯周ポケット)ができ、それが深くなった段階で噛み合わせが悪くなると一気に歯周病が進行します。
特に歯ぎしりのように、毎日繰り返して異常な力が加わると、あっという間に歯が揺れ動き、歯と歯の間に隙間が出来てしまい、結果歯を抜かなければならない状態になってしまう可能性があります。
ですので、歯の噛み合わせが悪いと認められた場合は、出来るだけ早く治したほうが良いと言えます
歯のかみ合わせが悪いといっても様々ですので、歯科医師に正しく判断してもらう必要があります。
手術により、歯と歯ぐきの間の深い溝はなくなりますが、失われた骨は完全に元には戻りません。
そこで、どうしても歯ぐきが退縮してしまい、根の部分が露出するようになります。この露出した根の部分は、構造的に大変弱く、表面も滑らかではありません。
このため、その部分に細菌が住み着きやすく、細菌の出す酸によって表面が脆くなり、刺激を敏感に感じ取るようになってしまいます。
冷たいものや熱いものがしみるようになると、歯を磨くのが億劫になり、その部分に細菌がますます住みついて、刺激に対して感受性が高くなるという悪循環を繰り返します。
そこで、これらの“しみる”を防ぐ最も有効な手段は、刺激の元になるプラークが住み着かないように徹底して歯磨きを行うということです。
歯科医師・歯科衛生士と相談をしながら正しいブラッシング方法を見つけ、毎日丁寧なブラッシングをすれば、多くの場合は治ります。
歯の表面についた細菌をうがい薬などで除こうという試みは、これまで数多く行われてきました。しかし、口の中は身体の他の部分とは違って、薬を作用させるのにいろいろな問題点があることが明らかになってきました。
その最大の難点は、どのようにして口の中に長く薬を留めるか、そして細菌に効果的に作用させるかということです。いくら歯ぐきに薬を塗っても、唾液などですぐに流されてしまうと意味がありません。
口の中は、一度薬で細菌を除いたとしても、すぐに細菌がはびこってしまいますので、毎日薬を飲んだり、うがいをしなくてはなりません。そうすると、薬の副作用が問題になってきます。
このような理由で、歯周病の治療に薬の効果が認められるのは、現在のところまだほんの一部にすぎませんが、新たな研究が続けられています。
口臭を訴える患者さんを診ていると3つのグループに分けられます。
この中でも1のグループの方々には、口臭の原因についてよく説明すると、多くの場合それほど気にしなくなります。
口臭の原因を分析してみますと、大きく口の中の病気、つまり虫歯と歯周病などによって産生される場合と、胃や肺などのお口以外の病気によって産生される場合に分けられます。
2の患者様に対しては、虫歯や歯周病を適切な治療で治すことにより、口臭はほぼ完全になくなります。それでも口臭が残る場合は3のグループの方たちです。
この場合には、歯科以外のお医者さんに行って検査をすることをお勧めします。
妊娠をした女性のお口を見てみますと、歯ぐきが赤く腫れていたり、虫歯になっている歯が多かったりということがありますが、妊娠が直接の原因でこれらのお口の病気が発症したかというと、決してそうではありません。
妊娠している患者さんに尋ねてみますと、つわりがひどい方にこれらの症状が多いようです。つわりによって吐き気がひどく、歯が磨きにくい状態になってしまい、お口の中が汚れてしまうようです。こういう状態ですと、妊娠していない場合でも虫歯や歯周病になってしまいます。もちろん、妊娠によってホルモン代謝の変調や栄養のバランスが崩れてしまうと余計にこれらの病気が起きやすくなります。
ですから、妊娠したと気付いたら歯の表面につきやすい食べ物を出来るだけ食べないようにして、歯磨きをこまめに行う習慣をつけてください。その場合、歯ブラシはできるだけ小さめのものにして、歯磨き剤はあまり刺激の強くないものを選びましょう。
妊娠すると、虫歯や歯周病に対して通常の治療法が行いにくくなります。ですから、ぜひ早いうちから歯や歯ぐきの手入れをまめに行って清潔に保つようにしましょう。
歯周病が食事療法だけで改善したということはありません。
しかし、食べ物の種類や成分が歯周病の予防や進行という面に深くかかわっているのは確かなことです。
歯周病に関しては、火を通した柔らかい食べ物と、それと同じでも火を通さない硬い食べ物とでは、歯の表面に付着するプラークの割合が異なるという結果が確認されており、柔らかい食べ物は歯周病にとって好ましくないと言えます。
ですから、出来るだけ線維性の食べ物で、歯の表面につかないものが、歯周病を予防するという観点では大切です。
しかし、食べるということは、人間の行為の中でも大きな楽しみの一つです。ですので、食事を制限する!というよりも、食べたらきちんと歯を磨き、お口の中の細菌が住みにくい環境を作り出すことが大切だと言えます。
現段階では、歯周病が遺伝するかどうかの直接的な関連性があると断定できる研究結果は出ていません。ただし、細菌のすみつきやすいお口の中の環境が遺伝される可能性は十分に考えられます。
特に歯周病の場合には、プラークに対して抵抗を示す身体の中の白血球などに異常がある病気の人では、歯周病が著しく進行しているという事実がありますので、もし、このような白血球の働きの異常が遺伝されるとすれば、当然、子供にも歯周病が起きやすいということになります。
しかし、歯周病を引き起こす歯の表面のプラークは、その人や親の努力によって、ほぼ完全にコントロールできますので、小さい時から歯を磨く習慣をきちんと身につけていれば、これらの病気が遺伝であったとしても、最小限に病気の進行を止められる可能性があります。
まずは、疑問を持つことから始めてみましょう。疑問をもって行動をすることが、大きな一歩に繋がります。少しでも気になった場合は、お気軽にご連絡をください。
歯周病に関して気になることがあれば、下記のページも参考にしてください。
歯周病治療についてはこちらをご覧ください。(リンク;歯周病治療)
当院の歯周病専門医、Dr.野口の最新歯周病学講座はこちらをご覧ください。(リンク:歯周病学講座)
最後になりましたが、今回のHPの内容は医歯薬出版株式会社の
「さよなら歯周病 お口の健康 からだの健康」
を参考にしていますので、ご一読いただければ幸いです。
著者:野口 俊英)
※書籍はこちらからお買い求めいただけます。
(https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=441280)
※医歯薬出版株式会社のホームページはこちらから
(https://www.ishiyaku.co.jp/index.aspx)
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