前回、歯肉炎と歯周炎の違いについて述べましたが、いずれの場合でも歯と歯茎(歯肉)の間にポケットという溝が出来ます。このポケットは歯茎が健康な時でも見られる歯と歯茎の間のスペース(歯肉溝)、通常2ミリ以下、がより深くなったものです。ただし、その作られ方には違いがあり、歯肉炎のときに 生じる歯肉ポケットは歯肉炎により生じた歯茎の腫れが原因です。一方、歯周炎でみられる真性ポケットは歯茎が歯の表面から剥がれることにより作られます。真性ポケットが作られた歯周炎では病気が歯茎(歯肉)からその下にある歯槽骨、歯根膜、セメント質のまで及ぶようになり、自分自身の歯を失う最大の原因になります。皆さんが歯医者さんで針のようなもの(ポケット探針)によって歯茎がチクチクと感じるのはこのポケットの深さを測っていると思って下さい。この深さが大きければ大きいほど歯周炎が進行していることになります。歯周炎が進行するのはこの真性ポケットの中に住みつくようになった空気を好まない細菌群(歯肉縁下プラーク)が最大の原因です。これらの細菌群は歯肉炎の時や虫歯 (ウ蝕)の時に存在する空気を好む細菌群とは全く異なるもので、深い溝の中に住みついているので歯ブラシなどで取り除くのは困難です。
次回も歯肉炎と歯周炎の違いについて述べる予定です。
野口俊英