前回はプラーク以外の原因も関連する「全身因子関連歯肉炎」について述べましたが、今回は「非プラーク性の歯肉炎」および「歯肉増殖」について述べます。
A 「非プラーク性歯肉病変」
1.プラーク細菌以外の感染による歯肉の病変 Gingival lesions induced by other infections
プラーク中に存在する細菌以外の細菌によるもの、ウイルス感染によるもの、真菌感染によるものに分けられますが、頻度は極めて稀です。
2.粘膜皮腐病変 Mucocutaneous disorders
扁平苔癬 Lichen planus, 類天庖瘡Pemphigoid, 尋常性天庖瘡Pemphigus vulgaris, エリテマトーデスLupus erythematosus, その他 others
に伴って現れる歯茎(歯肉)の病変で、プラーク性歯肉炎とはかなり異なり、出血、発赤、などが著しくなります。
3.アレルギー性歯肉炎 Allergic reactions
アレルギー症状の一部として歯肉に炎症が生じたもの
4.外傷性歯肉病変 Traumatic lesions of gingiva
乱暴なブラッシングなどにより傷ついてしまった歯茎(歯肉)
B 歯肉増殖 Gingival overgrowth
1.薬物性歯肉増殖症 Drug-induced gingival overgrowth
抗痙攣薬であるフェニトイン、カルシウム拮抗薬であるニフェジピン、免疫抑制薬であるシクロスポリンなどの服用により生じた歯肉の増殖
2.遺伝性歯肉線維腫症 Hereditary gingival overgrowth
歯肉全体が異常に増殖し、歯全体を被ってしまうこともある。遺伝的要因が大きいとされていますが、いまだ病因は不明です。
野口俊英