デンタルプラーク(歯垢)は歯の表面に強固に付着した生きた細菌の集団であり、1グラム当たり約10の11乗個もの細菌で構成されています。さらに、デンタルプラークは別名バイオフィルム(biofilm)とも呼ばれているように、細菌自身が自分たちの生存を 守るために細菌同士が巧妙に作り上げたフィルム状の環境であり、うがい剤などから組織を守り、抗生物質(抗菌剤)なども内部には届きにくい構造になっています。
同時に口の中は極めて細菌の育ちやすい環境、すなわち、適度な水分(唾液)、食べカスなどの栄養分、体温と同じ温度が保たれておりプラーク、の除去を行わずに放置すれば細菌は猛烈な勢いで増え続けます。
プラークには特殊な染色剤で染めだして見ることの出来るもの(歯肉縁上プラーク)と、歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)の中に存在し、目では見えないもの(歯肉縁下プラーク)とがあります。両者を構成する細菌の種類は大きく異なり、歯肉炎は歯肉縁上プラークが最大の原因になります。
次回は歯肉縁上プラーク中に存在する細菌の種類などについてお話しする予定です。
野口俊英